ロングウォレットの作り方を解説
ロングウォレット(長財布)の型紙を作ってみましたので、型紙データと作り方を画像付きで掲載しています。
ロングウォレットは2つ折りのタイプで、ファスナーを使用した小銭入れとカード入れがあります。
カードは6枚入るようになっていますが、工夫すればもっと多く入れることができるように作り替えるのも良いと思います。
ロングウォレットの製作は作業工程が多いので作業時間が結構かかります。
サンプルで1個作った時は、確認して微調整しながら作ったので12時間ほどかかりました。
撮影用に今回製作したのは2回目ですが、それでも9時間近くかかっていますのでレザークラフトとしては大変な部類になるかと思います。
ロングウォレットを作るのに必要なもの
ロングウォレット制作に使用する革
使用するロングウォレットの型紙はA4用紙3枚使用しますので革も多く使います。
革の厚みは1mmを想定しています。
今回作ったロングウォレットに使用した革は協伸さんのヌメ革タンローの半裁でB級品で厚みは1.2mmの革を使用して製作しました。
カードを入れる部分は薄くしないとカードが入らなくなることもあるので、カード部分に限っては1.2mm厚までかなと思います。
重量感あるロングウォレットを作りたい場合は、表になる革と小銭部分を2mm厚にするのも良いと思います。
革の厚みは1mmを想定していますので、厚い革を使用するときは型紙より少し大きめに切って調整しながら製作していくと失敗も少ないと思います。
道具関連
使用する道具類です。
革包丁、カッター、定規、カッターマット、ゴム板、木槌、菱目打ち、御影石、ステッチンググルーバー、菱ギリ、ガラス板、針、糸切りハサミ、目打ち、革砥、ウッドスリッカー。
今回は5mmピッチの菱目打ちを使用します。
ロングウォレットの型紙が5mmピッチを想定して作られているためです。
菱目打ちが3mmや4mmしか持ち合わせが無い場合は注意事項があります。
カード部分の製作で糸を切らないように注意していただければよいかと思います。
消耗品関連
トコノールはコバ磨きに使用するのでトコフィニッシュでもCMCでも良いです。
革を染色するなら染色剤と色止めとしてレザーコートが必要になります。
糸は今回もビニモ MBTでベージュを使用しています。
糸の色についてはお好みで良いかと思います。
ロングウォレットの作り方
ロングウォレットの型紙を用意
まずは無料の型紙データをダウンロードして印刷しておきます。
型紙にメモリが書いてあるので寸法を確認しておいてください。
革の荒裁ち
今回も使用する革は1.2mm厚の半裁を使用しますので、画像のようになります。
A4サイズに切り分けられた革でも問題ありません。
革を好きな色に染める
今回も革用の染料を使ってグラデーションに染めてみました。
最初に黄茶に革全体を染めてから少し色が濃い金茶でグラデーションを付けています。
布タンポを作り軽く革の表面を擦ってグラデーションにしています。
ロングウォレットは革が重なる部分が多いので、組み立てる前に色止めをしておきます。
革を型紙に合わせて本裁ち
菱目打ちが5mm以外を使用する場合は調整が必要です。
カード部分の出っ張り部分は10mm以上残して後で調整するのが良いと思います。
ロングウォレットの型紙に合わせて本裁ちをします。
ロングウォレットの厚みが薄くなるように革を漉く
全体的にロングウォレットが分厚くなっても問題ない場合は革漉きをしなくても良いです。
ですが、スマートな財布となりますので漉くことをおすすめします。
革漉きが最も大変な作業かもしれません。
型紙に名称が書かれていますので照らし合わせてください。
「カード部 2枚」と書かれた型紙は出っ張った両サイドの部分と下部の赤い点線が書かれている部分。
「カード部フェイス」と書かれた型紙の両サイドと下部。
「小銭部 マチ小」の両サイド。
「小銭部 マチ中」の両サイドと中央は中漉きをしています。
革を漉く方法はこちらをご覧ください。
それぞれ革漉きは10mm程度を斜め漉きしています。
革漉きの最大のコツは革包丁をしっかり砥いでおくことです。
少し漉くと切れ味が悪くなるので、頻繁に革砥で砥ぐと良いです。
ロングウォレットのカード部分の製作
カード部分のコバを処理しておく
手縫い後にコバが磨けなくなる部分は事前にコバ磨きをしておきます。
型紙に「カード部」と「マチ」と書かれた革の上部。
普段でしたら焦げ茶ですが、今回は金茶でコバを染めました。
カード部分の組み立て
「カード部背面」をベースにして、上端から10mmの位置に「カード部2枚」と書かれた型紙に切り出した革にガイドラインを引きます。
その後、スリーダインで接着してから菱目打ちで穴を開けて手縫いをする手順です。
接着する部分は事前に荒らしてから接着剤を塗っていきます。
次に「カード部2枚」の下部3mmを縫い代にして菱目打ちで針穴を開け手縫いをします。
型紙から中央の補助線に軽く目印をつけておくと良いです。
菱目打ちのピッチは5mmを想定しています。
3mmや4mmしかない場合は「カード部2枚」の両端の出っ張り部分の高さを10mmから12mmに変更すると良いです。
2枚目の取り付けも1枚目と同じように10mm開けて手縫いをします。
両端の出っ張りは隙間が無いように位置を調整します。
カード部の中央を手縫いする
位置を確認しつつ菱目打ちで穴を開けます。
組み立てたベース部分と「フェイス」は貼り付けて穴を開けても良いですが、位置を合わせやすいので今回は別々で穴を開けました。
手縫いは「フェイス」の一番上の革に開けた針穴から画像のように縫い始めます。
あとは折り返して全て手縫いをしていきます。
すると、革を重ねた部分は2重に縫われるので丈夫になります。
「ベース」の裏はこのようになります。
菱目打ちが5mmの場合は縦と横の糸が重ならないように設計してあります。
もし、4mmや3mmの菱目打ちを使用する場合は横に縫った糸を切るかもしれません。
そのため、穴の位置をよく確認する必要があります。
ロングウォレットの小銭部分の製作
小銭部分が大きく開くようにしたかったので、このように革を切ります。
上の部分は3.5mm幅に切り、下は2mm切ります。
幅が違うのはマチを付けた時に段差が無いようにするためです。
ロングウォレットを右手で持って小銭を開く事を想定しています。
そのため右利き用と思ってください。
持ち手が逆になる場合は下部分を厚めに切ります。
金属ファスナーの長さを調整
小銭入れで使用するファスナーはこちらを使用しました。
ファスナーは20cmのタイプを使用します。
使用するファスナーのサイズは17cmですので18cmのタイプでも大丈夫です。
20cmでは少しファスナーが長いので短く調整します。
ファスナーの取り付け方をまとめましたのでご覧ください。
まずは縫い代を3mmに設定してステッチンググルーバーで溝を付けます。
次に5mmピッチの菱目打ちで穴を開けていきます。
金属ファスナーを革の下に引いて位置を確認します。
ファスナーの布部分(上耳)を折り返すので、糸で止められるようにこの位置にします。
下止の位置を確定するため、マジックで黒く塗り、この位置までムシを取ります。
ファスナーの下止を目打ちなどを使って取り外します。
次にファスナーのムシをラジオペンチや喰い切りで外します。
ファスナーの下止を取り付けて10mm程度残してファスナーを切ります。
ファスナーを縫い付ける
接着剤や2mm厚の両面テープなどで革とファスナーを貼り付けます。
その後はグルッと1周手縫いをします。
目につかない部分ですが、革の裏側も綺麗にしたい。
そんなときは表から針を刺し、裏から同じ位置に針を通すだけです。
裏から針を通すと位置がズレやすくなるのでガタガタになります。
マチの取り付け
「小銭部マチ中」を3.5mm切り落とした方ら取り付けます。
マチを仮付けしてみて画像から見て上の端と位置が合うように調整します。
マチの中漉きが足りない場合。
そんな時は3.5mmに切り落とした部分をもう少し切り落として調整します。
調整後は手縫いをしていきます。
「マチ中」に折り目をつけますが、ヤットコがあるとマチに折り目を付けやすいです。
「小銭部」を折り返して「マチ中」の端を「小銭部」の端に位置を合わせます。
その後手縫いしていきます。
画像の下の角付近にシミの様な点を付けました。
これは最後の針穴から5mm下につけた印です。
事前に印をつけておくと取り付けるときの目印になります。
画像を取り忘れましたが、あとは反対側に「マチ小」を取り付けます。
ロングウォレットの組み立て
「外装」に組み立てた「カード部」を取り付けます。
型紙のオレンジ色の部分は調整用の余白となります。
このように余分な部分は接着剤で固定後にカットしてコバを揃えて手縫いします。
小銭部分もカード部と同じようにして手縫いをします。
以上で完成です。
完成
1か所取り付けに失敗しました。
「マチ小」をズレた位置に取り付けてしまいました。
ファスナーが少し捻じれしまっています。
1部失敗した部分もありますが、全体的に綺麗に出来上がりました。
サイズは195mm×95mm×30mmとなります。
今回はスッキリとしたロングウォレットにしたかったので、1.2mmの革を使用して革漉きをしました。
1mmや0.8mmの革を使用したり「カード部ベース」と「小銭部」の外周も漉けばもう少し印象も変わると思います。
小銭部分は大きく開くようになっているので出し入れもしやすいと思います。
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