ヌメ革を明るい色に染めた時に上の画像のような黒い点々が付くことがあります。
これは何かというと「鉄染み」(テツシミ)という化学反応です。
タンニン鞣しをしたヌメ革は、タンニンが鉄に反応して紺色に色が変わります。
染めるときに使用する水に鉄分が含まれ、それが反応しているようです。
井戸水は鉄分が入っているそうなので井戸水を使用する場合は注意が必要です。
昔お世話になっていた店舗がそうでしたが、地下水をくみ上げて鉄製のタンクに貯蔵して使用するタイプでした。
アパートでそのような環境ですと鉄分たっぷり含まれた水かもしれませんのでご注意を。
また、あえて鉄で染める方法もあるそうです。
このページでは付いてしまった鉄染みを消す方法を解説しています。
鉄染みの消し方
鉄染みを消す方法はあります。
それはクエン酸を加えることで鉄ジミは消えます。
鉄染みを消す実験の下準備
ということで簡単に実験してみました。
タンニン鞣しのヌメ革に革包丁を砥いだ時に出る砥ぐそを塗りつけます。
そして、少し放置しますと紺色に変色します。
研ぐそは鉄の塊のようなものなのですぐに変色します。
変色した後は水洗いをして砥ぐそを洗い流してから乾かします。
今回使用したクエン酸です。
クエン酸はスーパーに300円程度で売っていました。
少量の水とクエン酸を少し取って溶かしたものを変色した部分に塗ります。
クエン酸の濃度は計っていませんが、舐めてみて「レモン味だ」と判る程度にしました。
実際に鉄染みを消していく作業
綿棒にクエン酸を染み込ませてから鉄染みの部分を3回ほど軽くなぞってみました。
1分もあれば鉄染みの色が変わっていくので見ているとちょっと楽しいです。
よく見ると完全に消えるわけではないようです。
ですが、目立たなくすることはできるようです。
鉄染みの部分とクエン酸を塗った部分の境界を拡大した画像です。
思ったよりもはっきりとした境界でした。
コバの部分を拡大撮影してみました。
コバの黒い点は鉄染みではなくて毛のようです。
色止めをした後では鉄染みを消すことはできませんでした。
色止めが繊維をコーティングしますのでクエン酸が染み込まないためと思われます。
革を染めた後、鉄染みが見つかった時は色止め前に処理する必要があります。
事前にクエン酸で消してから色止めをするのが良いです。
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