ラウンドファスナーの取り付け方

技術系
完成


ラウンドファスナーの取り付け方

ファスナーの取り付けはある程度レザークラフトに慣れている必要があります。

特別な技術は特に必要ないと思いますが、丁寧にやった結果が出やすい作業かなと思います。

いろいろ作ってみて「次の段階に進みたい!」と思ったら挑戦するのもいいと思います。

「治具」を作ってファスナーを取り付ける方法もありますが、治具は複製するときに有効な道具です。

数個作る程度なら治具は特に必要ありません。

治具はMDFといった木系の材料が一番良いそうです。

他にも段ボールで作ることも一応できますので興味があったらご覧ください。


また、ファスナーを囲うように取り付けるラウンド型ではなく平面に取り付ける一般的な付け方はこちらをご覧ください。


ファスナーの準備

今回解説で使用するファスナーは40cmを使用しました。

ナイロン製と金属製がありますが、練習用としては安価なナイロン製が良いと思います。

長さもそれなりにあるので練習には最適かと思います。


ファスナーの取り付け方法

内装の革の下準備

内装の革に直接ファスナーを貼り付けます。

内装の床に目印を書き出していく

まずは内装となる革の床に中心線とファスナーの外周の目印を書いていきます。

中央にある3本の縦線は中心線と25mmの線を引き、線に沿ってファスナーを貼り付けることになります。

コバからは5mmに計って線を引き、線に従ってファスナーを貼り付けることになります。


ファスナーをこのような感じに取り付ける

ざっくりとこのような感じにファスナーを貼ることになります。

ファスナーには表と裏があるので注意が必要です。

裏表を間違えると悲惨なことになります。

ファスナーを取り付ける部分をぐるっと1週させて、少し長めに切り落とします。

切った部分の布は解れやすくなるのでライターで軽く炙っておくと布が溶けて解れにくくなります。


ファスナーに中央線を入れる

切ったファスナーの表面の中央部分に目印を入れます。


目印はファスナーの端から5mm以内に収めないと完成時に目立ってしまうので注意してください。

目印を付けるのもファスナーの表になりますので注意してください。


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表の革の下準備

表の革の床を少し染める

こちらは表になる革の床になります。

完成時に目に触れやすいので、外周と中央付近は軽く染めておきます。


革に手縫い用の穴を開ける

表と裏の革に手縫いをするため、事前に穴を開けていきます。


革の仮止め

表の革と裏の革の準備

床面に「A」と「B」と目印を書きます。

内装の床に赤く円を書いた部分に接着剤を塗ります。

全体をべた塗しても良いですが、練習なので一部だけにしています。

張り合わされる表の革にも同じ位置にも接着剤を塗っておきます。

仮止め程度で良いので接着力の弱いゴムのりを使用しています。

ゴムのりが無い場合は紙の両面テープでも問題ありません。


A面の穴を開ける

片面のコバを合わせる

まずはA面同士のコバを合わせて貼り合わせます。


まずは片面に穴を開ける

ステッチンググルーバーを使って縫い代を3mmに設定してラインを引き、菱目打ちで穴を開けます。

4mmよりは3mmの方が良さそうな気がします。


B面の穴を開ける

革を剥がして今度はB面のコバを合わせて貼り付けます。

そしてA面同様に手縫い用の穴を開けます。


両面穴を開ける

このように両サイドに穴が開きました。


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接着剤を塗っていく

ファスナーと床面に接着剤を塗る

まずは接着剤を内装の5mmに線を引いた外周部分と中央の25mmの部分に塗っていきます。

ファスナーの端から5mm以内の部分にも接着剤を塗ります。

ファスナーは裏に接着剤を塗ることになるので注意してください。

ここで塗る接着剤は、接着力が弱いと手縫いの時にファスナーの位置がズレてしまう事もあるので強力な接着剤を塗ります。

また、何度か位置合わせをするので仮止めもしやすい接着剤が良く、いろいろテストした結果 スリーダイン がおすすめです。

両面テープでも出来ますが、両面テープが貼ってある部分に手縫い用の穴が有る場合、針に両面テープの粘着が付いてベタベタになります。

したがって両面テープを使用する場合は2~3mmの幅が薄いタイプがよろしいかと思います。


ファスナーを貼り付けていく

位置を合わせて貼り付ける

最初はファスナーの中心に付けた目印が内装に付けた中心線に一致するように位置を合わせて貼ります。


この時にファスナーを引っ張って貼り付けると、完成時にファスナーが歪みます。

そのため、貼り付けるときは「真っすぐに」「引っ張りすぎないように」貼り付けます。

また、全てファスナーを取り付けるまでは仮止めだと思って貼っていくと微調整がしやすいです。


側面を貼り付ける

続いて端を直線に引いた線に合わせて貼ります。

カーブの部分はまだ貼らず、画像のようにぺろーんとした状態にしておきます。

同じように全部、4辺を貼っていきます。

全て微調整しやすいよう仮止め程度にしておきます。


四隅は残して接着

ファスナーの両端はこのように貼っておきます。


カーブは菊寄せで貼り付ける

簡単に菊寄せ

「菊寄せ」という技法がありますが、慣れないうちは難しいです。

カーブ部分の処理はピンセットを使用すると簡単です。


ピンセットで菊寄せ

ピンセットで山になった部分の頂上を引っ張りながら5mm線に合わせて貼っていきます。

次に左右に山ができますのでその山の頂上をピンセットで持って位置を合わせて貼ります。

最後は指でギュッと押さえてお終いですが、雑に仕上げると完成時目立つので丁寧に行います。


ファスナーの貼り付け完了

ファスナーを接着した様子

革の中央部分のカーブは菊寄せしないようですが、私は軽く菊寄せするようにしています。

微調整も済んだら指で押さえて圧着して終了です。


内装

チャックを締めるとこんな感じになります。

色々な角度から見てファスナーに歪みが無いか確認できます。

中央線にぴったりくる位置に貼られていればファスナーを閉じた時に歪むことはありません。


ファスナーの手縫い

貼りで穴の位置がズレないようにする

内装、外装の革につけておいた目印のA面同士を合わせて手縫いをしていきます。

接着剤を塗りなおして貼ってもいいと思いますが、私はこのまま手縫いをしています。

針を数本使って表と裏の革の穴に針を通し、穴の位置を固定すると手縫いをしやすくなります。

ファスナーは布製なので菱目打ちで穴を開ける必要が無く手縫いができます。

A面が縫い終わったらB面を縫っていきます。


上手に指を使う

B面の縫い終わりが近くなると、スペースが狭くなり手縫いをしにくくなります。


最後の糸の始末

最後の糸の始末をライターで炙れない場合は ヒートペン があると便利です。

ヒートペンは狭い部分でもピンポイントで糸を溶かすことができるので大変便利です。


完成

完成
ファスナーの取り付け後

ファスナーの模様を見ると直線になっているのが判りますか?

菊寄せの部分はもう少し追い込んだほうが良さそうです。

ファスナー取り付け時、雑に取り付けると歪んでしまうため完成時に目立ってしまいます。


失敗例との比較

練習用として始めて作ったファスナーが緑の方です。

全体的にファスナーの幅が狭く、中央が歪んでいるのと、外カーブの部分の菊寄せが雑だったのと、チャックの部分が汚いなど学ぶ事が多かったです。

始めは練習で2~3個作ると要領もわかってくると思います。


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