革を漉くとは
「漉く」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、革の厚みを薄くするという意味です。
「へり漉き」とも言われることもあります。
漉く作業は作る作品によって必要な場合があります。
革の漉き方も「斜め漉き」「ベタ漉き」など様々です。
「革漉き機」という道具もありますが、高額のため一般の方には手が出にくいです。
今回は、革包丁を使った漉き方を説明していきます。
どういう時に漉くのか?
レザークラフトには「ヘリ返し」という技法があってコバを銀面にする方法です。
このようにする場合は、漉くことで革の厚みが薄くなるので折り返しやすくなります。
また、折り返すことでコバの見栄えも良くなります。
革漉きは財布に良く使用されているかなと思います。
財布のカード入れのように何枚か革が重なる部分を漉く。
同じく財布のカード入れの端をヘリ返すを漉く。
ファスナーの部分のヘリ返しをするために漉く。
他にもたくさんありますので革を漉く技術は磨いておきたいところです。
革の漉き方
ここからは革の漉き方について説明します。
漉く時に使用する道具
革包丁、ガラス板、砥石、革砥
ガラス板については他のものでも代用できます。
代用する条件は「ツルツルしている」「平面である」この2点ですので私はタイルをよく使用しています。
革包丁をしっかり切れるように砥いでおく
非常によく切れるように革包丁をしっかりと研ぎます。
「よく切れる」ではダメです。
慣れていない最初のうちは「非常によく切れる」でないとうまく漉くことができません。
そのため、漉き作業を行う時は切れ味が悪くなっていたら砥石で砥ぎます。
最低でも革砥で砥いで仕上げておきます。
革漉きの最大のコツはよく切れる刃物といっても過言ではありません。
革包丁の持ち方
刃の角度が一定になるような持ち方が良いです。
刃先を押しながら横にスライドして切るので、スライドしても刃の入射角が大きくぶれないような持ち方をします。
親指は柄の下、人差し指と中指で刃を下に押さえて薬指で左に押す。
小指は床面に着けておけば多少安定します。
具体的な漉き方
イメージとしては刺身包丁で刺身を削ぎ切るように刃先を横にスライドして切ります。
革を押しながらではありますが、押して切るというより「横にスライドさせて切る」のを意識して切ります。
床面に設置するのは革包丁の砥いだ面である「しのぎ面」を床に付けて漉きます。
赤い矢印は左にスライドしていますが、右にスライドしても良いので、スライドしやすい方向に引きます。
刃先は僅かで良いので斜めにしますと切りやすいです。
慣れるまでは少しづつでもいいので、一度で切りきるのではなく何回かに分けて切っていきます。
ちょっと変わった漉き方
Youtubeで見たちょっと変わった漉き方です。
ガラス板の端から少しずらしてスペースを設けて革を置き、革包丁のしのぎ面は上に向いた状態で漉く方法です。
この漉き方のメリットは切りすぎないという点です。
薄く漉く時は少し角度をミスすると銀面まで切ってしまうのですが、この方法だとそうなりません。
ガラス板の端に刃の一部が当たるようにすることで角度の調整もしやすいです。
鋭角に切ったとしてもガラス板と刃の設置する位置(画像のスペースと書かれた部分)より中に革がある限り革の端を切りすぎることはありません。
ただ、ガラス板の角に刃先が当たることになるので鋼でも接触部分は変形します。
刃先を痛めやすい切り方かな?と思います。
手軽に漉くことができる道具
「フレンチエッジャー」「豆鉋」「カッター」「別たち」といった道具もあります。
広い面積を漉くベタ漉きですと豆カンナが便利です。
豆鉋は小さい手のひらサイズのカンナで、木の平面を削る様に床面を削ります。
わりと簡単に広い範囲を漉けるので持っておいても良いと思います。
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