はじめに
手縫をした後、「糸が通っている針穴が大きくて嫌だな・・・」
そう思ったことはありませんか?
大きくなった針穴を小さくする方法はちゃんとあります。
手縫をした跡を綺麗に見せる方法や注意点があります。
まずは軽く手縫いについておさらいをします。
手縫の時は引き締めながら縫っていきます。
ある程度糸を引き締めて革に糸を沈めて手縫いをしていきます。
糸はある程度引き締めないと見た目が悪いだけでなく、万が一糸が切れた時に解けやすくなります。
糸を革に沈める
糸を革に沈めることで擦れによる糸の摩耗を防ぐことができます。
完全に糸を沈めたほうが良い場合は摩耗しやすそうな部分に留めたほうが見た目が良いと思います。
しっかりと沈める場合は銀面を削ることもあります。
糸を革に完全に沈める方法
糸を革に沈める簡単な方法は水を使う事です。
まずは糸が通る部分に筆や綿棒を使って適度に水で湿らせます。
革は水に濡れた状態だと柔らかくなりますので、糸を沈めやすくなります。
手縫の時にしっかりと引き締めながら縫っていきます。
感覚がつかめないうちは、どれくらいの水でどれくらいの力で引き締めればいいか練習すると良いです。
上の画像の手縫いはかなり力を入れて縫いましたので、しっかりと糸が革に沈んでいます。
ですが、革が柔らかくなっているため糸が沈んだ代りに穴が大きく広がってしまっています。
適度に糸を革に沈める方法
作品にもよりますが、糸を革に沈める必要があれば水を使うのもありです。
そうでもない場合は水を含ませることで力加減が難しくなるのではないかと思います。
なので私は通常は水は含ませずに手縫いをしています。
引き締めるときの力が弱すぎると糸が緩んでしまいます。
かと言って力を入れすぎると今度は穴が広がってしまうため、穴が目立ってしまいます。
これもやはり、力加減が判るまでは練習するしかないと思います。
菱目打ちで開けた穴の形状を考える
菱目打ち で穴を開けると、このようになります。
菱目打ち の形状を見ると、鋭角の部分で革を切り、鈍角の部分で革を押し広げる形になります。
画像の上の部分の赤い斜め線は 菱目打ち で切った革の部分となります。
表は斜めに切り、裏は少ししか切っていません
そして、薄い赤の部分は 菱目打ち で押し広げた部分となります。
押し広げられた分、周りが盛り上がります。
画像の下の部分は革を横から見た状態ですが、菱目打ち の形状から革の裏に開く穴は小さいです。
手縫後の針穴の見た目を良くする
手縫をすることで針と糸が出入りし、引き締めることで針穴が押し広げられます。
どうしても針穴が広がってしまいます。
菱目打ちを打ち付けた表の方が針穴が大きくなり、裏も針と糸が通った分広がってしまいます。
その広がった穴を塞ぐ方法は糸の部分を叩くだけです。
木槌だと革を傷つけてしまうかもしれませんので、ゴムのハンマーが良いと思います。
早速ビフォー、アフターをご覧ください。
ゴムハンマーで叩く前
菱目打ちで針穴を開けた表面から撮影。
ゴムハンマーで叩いた後
元々大き目の針穴が小さくなっています。
ゴムハンマーで叩く前
菱目打ちで開けた針穴の裏側。
ゴムハンマーで叩いた後
裏側も同じように針穴が小さくなっています。
手縫をした部分は針と糸が行き来していますので、革の周りの針穴はさらに広がっています。
ゴムハンマーで叩くことで周りに広がった革がある程度戻りますので針穴が塞がります。
完全に針穴が塞がることはありませんが、見た目は大きく変わります。
なかなか頑固な針穴の場合は、革を少し水で湿らせると良いです。
また、糸も締め付け時の力の強弱も馴染むようになります。
どれも極端な違いではなく、ほんの僅かですが革を叩く叩かないでも違いがあります。
そのため、手縫いをした後は叩いた方が良いです。
また、ゴムハンマーの硬さ、叩きつける力の強弱などもあるので自分に合ったやり方を見つけるのが良いです。
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